アルファベットは自我が芽生えた9歳から
子どもは生まれてから小学校低学年まで、自分が世の中と繋がっている「一心同体」のような感覚を持っています。
まるで、ファンタジーの世界にいるような。夢の中にいるかのような感覚です。
そんな子どもたちが、9歳前後のあるとき、心身がとても不安定な時期がきます。
それはまるで、裸のまま「楽園追放」されたアダムとイブのように。
混乱して、気持ちが揺れ動く。
そして、「自分は他人と違うんだ」と気づく時期がくるのです。
シュタイナー教育では、よくこれを「ルビコンを渡る」というんですね。
子どもが9歳の変革期を過ぎると、もう元(=ファンタジーの世界)には戻れない、ファンタジーと決別し、自我が芽生えたときに表現される言葉です。
ちなみにルビコンというのは何かというと、イタリアの川です。
イタリアの古代ローマ帝国時代にルビコン川を渡ると反逆者とみなされていました。ルビコン川を渡ったあと、ユリウス・カエサルの「賽は投げられた」という言葉はとても有名ですよね。
何が言いたいかというと、ちょうどルビコンを渡った9歳の変革期に、アルファベットを習うのが一番いいのです。
子どもが知っている・話せる英文をアルファベットの文字として書けるようになると、子どもの中にある何かが放出され、喜んでアルファベットを書くようになります。
シュタイナー教育ではだいたい小学校3年生の中ごろ~後半からアルファベットを習い始めます。
アルファベットを習うまでの英語学習法とは
ずばり、9歳の変革期まではアルファベットは覚えないほうがベターです。
それまではしっかり、リスニング力、スピーキング力を培う学習法を取り入れましょう。
たとえば、歌をうたって体で英語を覚えるリトミックや、絵や実物を英語で見て覚えたり、ネイティブスピーカーと話したり。
アルファベットを使わなくても英語を知る手段はたくさんあります。
9歳までに英語で簡単な会話ができるレベルまでもっていければOKです。(小学生から初めても遅くはありません)
アルファベットの習い方とは
自宅で子どもに英語を教えるには、アルファベットは文法と文章を切り離さず、書くことの喜びを伝える。これを意識しましょう。
園児はおろか、小学生でさえ、ひたすらドリルにアルファベットを繰り返し書いて覚えるのは、苦痛以外の何ものでもありません。
そこで1ページがB4くらい、大きめの画用紙とクレヨンを用意してください。(重なっても濁らないミツロウクレヨンがおすすめ。)
まずは画用紙いっぱいにアルファベットの一文字を書いてもらいます。
その文字に関わる絵も一緒に書きます。
そしてその文字に関わる歌をうたったり、話をしたりします。
たとえばM。
“Hey,let’s look over there.What can you see there?”(ねぇ向こうを見て。何が見える?)
“Yes,(I can see) there are mountains.”(はい、山が見えます。)
“Right.Well…I’m sure I heard something from them.How about you?”(そうね。あれ、何か聞こえるわ。あなたたちは?)
“・・・??”
“Listen….mo mo mountain.”(聞いて。マ、マ、マウンテン)
京田辺シュタイナー学校「代表的な科目」より引用
マウンテン=山からの形からMが見えてきますよね?
それを絵に描いてMを覚えるのです。
ドリルよりよっぽど面白いし、身に付くんですよ。
おわりに
英語とは、異質なものへの寛容力です。
まずは、普段しゃべる言語に英語を取り入れ、子どもの変革期になったらアルファベットを覚えるのがベスト。
そのため、幼児のころは英語でコミュニケーションをとれるよう、遊びの中で英語を取り入れましょう。
最近のコメント